老いた養母と小さな煙草屋を営む乃坂は、毎日くる創馬という男に、密かな恋心を抱いていた。<br />想いを伝えるつもりなどなく、他愛のない話の中で男からの優しい気持ちを感じるだけで幸せだった。<br />そんなある夜、創馬から突然の土地買収を告げられる。<br />混乱する乃坂に追い討ちをかけるような養母の死。<br />一人になった乃坂は、ただ傍にいたい。<br />それだけの想いから同居を条件に買収を受けると話す。<br />それが乃坂にとって、甘く切ない日々の始まりとは知らずに……。<br />