春はどどど
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光ることばがあります。
闇夜に突然、白い尾をひいて流れる流れ星。
その流れ星のように心に届いて光ってる、そんなことばが。
いまから十六年前、私は、大腸の難病といわれる潰瘍性大腸炎という病気になり、一か月半入院しました。
当時まだ四歳だった子どもをおいての、不安いっぱいの入院でした。
それは入院三日目。
医師はベッドサイドでの診察が終わると、私にこう言ったのです。
「作家はたいてい大病をしている。
大病をしても、すばらしい作品を生みだしている。
あなたもこれから人生を前向きに考えて過ごしていって。
これをチャンスにして。
ここから飛躍していって。
」「がんばって」ではない。
「あきらめないで」「負けないで」ともちがう。
患者の心を支える、なんてやさしく、あたたかく、力強い励ましだったでしょう。
六十兆あるといわれる細胞のすべてが、このとき生きる喜びに輝きだしたのです。
ここから始まった私の新しい人生。
私を支えている大切なことばです。
―あとがきより抜粋―
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