星の流れに 風のなかに 宇宙の掌に
■あらすじ西新宿にある高層マンションから、一人の女性が飛び降りた。
それは9月の終わり、涼しく空きらしい風が吹く頃だった。
女性は後頭部から落下したため、即死ではあったが顔は原型を止めていた。
それだけに、お通夜で集まった、女性の友人たちは皆、化粧をしてあげることにしたのだ。
「綺麗な顔のままで、良かったね」薄く頬紅を塗った女性は、まるで生きているようにも見えた。
安らかに眠る彼女と、棺に添えられた白いバラの花。
享年26歳。
友人たちは、泣き崩れた。
女性が飛び降りる15分ほど前。
彼女はマンションの管理人と会っていた。
ひどく酔っているように見えた女性に「大丈夫ですか?」と声をかけた管理人が、生前最後にあった人物となった。
それから遡ること2時間前。
彼女は、自分のノートにこう記している。
「未来がない。
未来が感じられない。
自分を完全に否定され、すっかり自信を失くしてしまった。
ひたすら苦しい。
息をするのも苦しい。
消えてしまいたい。
眠っていない。
泣いてばかりいる。
出口が見えない。
未来がない。
未来なんていらない。
」■著者コメント会社の内部告発をして逮捕された主人公と、自殺願望のある少女との恋愛を描いたものです。
最近、ストーカーだとか、女性を傷つけ逮捕される事件が多く、その後の人生はどうなるのか、更生はあるのか、そんなことを問いかけたいと思っております。
■著者プロフィール東京都生まれ。
歌手・中島みゆきの世界に引き込まれ、高校時代に家出して、自転車で日本を一周。
北海道の牧場で野生の馬に乗り、将来はジョッキーになる予定だった。
東京の雑誌社などでライターをする傍らで、東京ディズニーランドでカメラマンを務める。
JTBなどで観光創出事業にも従事。
外国人旅行客を日本に誘致するインバウンド事業にも興味があり、添乗員をしていたことも。
小説を書くために仕事を失い、家庭を失い、あらゆるものを失い、世捨て人となり、海外を放浪。
放送局のディレクターなども務める一方、旅行サイトの「京都の観光なら『ガイドブックス』や「たびねす」で、観光ライターとしても活躍中。
舟橋聖一顕彰青年文学賞などを受賞し、文芸雑誌の「小説新潮」やスポーツ新聞などにも小説を掲載された経験もあり。
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