戦前の東京・麻布十番にある、怜と透という混血の姉弟が営む喫茶店「夜想曲」。<br />ここを訪れた人たちの様々な人間模様を紡ぐ短編小説集。<br />晩秋の夕暮れ、怜は膝に怪我をして泣いていた少年・陽平と出会う。<br />そして陽平は、小指と薬指が欠けていた。<br />火事で両親を亡くし、親戚に引き取られ暮らしていたが、指のために学校でいじめに遭い、親戚の家では厄介者として扱われる陽平。<br />そんな辛い日々を送っていた陽平は、ある日、木地師の老人・庄吉と出会うのだった……。<br />