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伊勢物語 在原業平 恋と誠

千百年前から伊勢物語は読み継がれ、ふるくから在原業平はプレイボーイの代名詞だった。
業平の「色好み」とはいったいどういうものなのか――多くの読者を獲得している『小説伊勢物語 業平』の著者が自ら小説に紡ぐうちに浮かび上がってきた「雅」という人間力に迫る!「英雄、色を好む」ということわざがある。
現在ではセクシャルハラスメントになりかねないが、長らく続いた男尊女卑の社会では、それをよしとしてきたことを表すフレーズとも言える。
英雄ではないにしても在原業平もしばしばこの文脈でプレイボーイの代名詞として人々の口の端にのぼってきた。
しかし、業平の「色好み」は単に女性との性愛に執着することとは違うのではないか――見えてきたのは、現代にも通じる豊かな人間関係を構築できる能力だった。
そして「雅」とはその能力に裏打ちされた人間的な余裕だとも。
社会が多様性を認めることを人々に求める現代人にこそ、その優れたコミュニケーション力を、業平から学ぶところは大きい。
伊勢物語は恋愛の教科書ともしばしば言われる。
つまるところ、男はいい女に育てられ、成長した男がいい女を育てる、それも思いを歌に詠むことによって。
それゆえに言葉のコミュニケーション力の高さが求められる。
その能力は恋愛以外の人生も豊かにするものになるだろう。




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