まだ、夢が叶ったわけではない――。<br />朝堂で絶大な力を握った藤原不比等の身体は、老いに蝕まれていた。<br />その一方で、彼の娘の安宿媛は首皇子の子を懐妊し、息子たちも後継ぎとしての地位を固めつつあった。<br />自ら亡き後の障壁を取り払い、藤原家を比ぶ者なき家門とするため、不比等は最後の戦いに臨む。<br />