壊れかけた家庭のために毎週一本バラを買う私に、花屋のあるおは同じ話ばかりする。<br />繰り返しに苛立ち、私は彼と抱き合ってしまう。<br />その瞬間は確かなのに、翌日になると、あるおは私を覚えていない……ものを覚えられない青年への愛を描く表題作ほか、男女の性と対話を見つめた九篇。<br />