アメリカ深南部の伝統への根強い関わりと、近代性への熱い憧憬。<br />二つの力の激しい葛藤から、『響きと怒り』『八月の光』『アブサロム、アブサロム!』など登場人物の語りが重層的に響き合う濃密な物語りが織り上げられた。<br />サルトル、パヴェーゼ、マルケス、そして井上光晴、中上健次。<br />二十世紀文学に深い影響を与え、新批評から新歴史主義に至る多様な批評に耐えて読み継がれるフォークナー文学の魅力を、社会的、歴史的背景の中に捉える。<br />