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稲荷道 (室生犀星文学賞)

小学六年生のわたしはいつも、稲荷道を通って帰る。
人気のない林の道沿いにあるお稲荷様の祠のそばで、日暮れまでひとりで過ごすのだ。
同級生は意地悪だし、両親は不仲。
わたしの居場所は、どこにもなかった――。
顔を伏せ、気を遣って過ごす暗い日々に仄かな灯をともす、人なつこい笑顔の少年との出会い。
そして……。
ひたむきな少女の姿が胸をうつ、愛らしくもせつない幻想譚。
北陸ことばも魅力的な、電子書籍オリジナル作品。
【第五回室生犀星文学賞受賞作】




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