「只、消え行くのみ──この稿を終わるの日、また窓蕭々雨の音あり」幕末維新の奔流の中で、気概を持ちながらも、時代の波にのみこまれてゆく名もない幕臣達……。<br />作者が出会った夢幻の如き老人が幕臣たちの数奇な運命を語る表題作「雨の音」他、時代を必死に駆け抜けた男たちの生涯を描く七篇。<br />