月と雷
不意の出会い、気まぐれや衝動。
無数の偶然に促されて、私たちみんな、進んでいく。
自分にしかたどり着けない、見知らぬ場所に向かって――幼い頃、泰子の家でいっとき暮らしをともにした見知らぬ女と男の子。
まっとうとは言い難いあの母子との日々を忘れたことはない泰子だが、結婚を控えた今になって再び現れたふたりを前に、確かだったはずの「しあわせ」が否応もなく揺さぶられて……。
水面に広がる波紋にも似た、偶然がもたらす人生の変転を、著者ならではの筆致で丹念に描く力作長編小説。
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