ぼくが養護施設の前に捨てられていたのは、医者の見立てによると二歳になるかどうかの年だったらしい。<br />「あやと」と名前だけ書いた紙しか置いてなかったのは、ぼくは親にではなく、誘拐犯にでも捨てられたからなのか。<br />――中学校でも異物扱いのぼくは、卒業を前にして、十三年前のあの日を探し始める。<br />今日までの点線の道を塗りつぶすために。<br />ぼくの自分探しの結末は?