父の通夜にきた女の、喪服からのぞいた襦袢の襟の色(「桃色」)。<br />女が出て行ったあと、卓袱台のうえに残された腐りかけた桃の匂い(「桃--お葉の匂い」)。<br />濃密で甘く官能的な果実をモチーフに紡ぎ出される八つの短編。<br />