遠く異朝をとぶらえば、元の宮廷に隠されたマルコ・ポーロのもう一つの見聞録『驚異の書』とジパングの神の珠。<br />珠の放つ蜜色の光に、元と明の廃帝たちは何を見たのか。<br />近く本朝をうかがうに、配流の後鳥羽院に神の珠が見せたのは、幼くして散ったあの兄宮なのか。<br />『安徳天皇漂海記』につらなり、どこまでも滅びによりそう夢幻の物語。<br />