それは僕に必要な静かな午後だった。<br />風も波もない、まったく平静な宇宙空間にいるような時間が――恋人との別れから三年後、一本の電話が僕を直撃した。<br />胸の痛みを抱えながらも、やがて心の奥底が暖かくなる時間が訪れる(表題作)。<br />別れとはじまり、生きることの希望を描いた珠玉の短篇集。<br />