一六世紀、壮麗王スレイマン大帝のもとで繁栄を誇るオスマントルコ帝国に、工兵から宮廷建築家へと昇りつめた男がいた……。<br />「石の巨人」と呼ばれ、史上最大のモスクに挑んだ天才建築家シナン。<br />百年の生涯で四七七もの建造物を手がけ、かたちなきイスラムの神を空間に描こうとした男の物語――。<br />悠久の都イスタンブールに刻まれたその軌跡を辿り、薫り高きイスラム文化に迫る渾身の歴史長篇。<br />〈解説〉角野史比古