長篠の合戦から七年、滅亡の淵に立つ武田家。<br />主君勝頼に忠誠を誓う馬廻り・前島平蔵は、親族衆筆頭である穴山信君の徳川方への寝返りを察知し、甲府の穴山屋敷を取り囲む。<br />屋敷のなかでは、信君の妻・千鶴、嫡男・勝千代らが、脱出の機会を窺っていた。<br />実力派作家がスケール豊かに描く、戦国小説の新境地。<br />