辛かった哀しかった寂しかった。<br />痛みを理由にするのって、楽だった。<br />でも……。<br />千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には、自分を捨てた母・聖子がいた。<br />他の同居人は、娘に捨てられた彩子と、聖子を「母」と呼び慕う恵真。<br />「普通」の母娘の関係を築けなかった四人の共同生活は、思わぬ気づきと変化を迎え――。<br />町田そのこ 2021年本屋大賞受賞後第1作目は、すれ違う母と娘の物語。<br />