平安時代中期。<br />天皇の従兄である仁和寺僧・寛朝は、己の楽音を究めるため、幻の師を追って京から東国へ下った。<br />そこで荒ぶる地の化身のようなもののふに助けられる。<br />のちの謀反人・平将門だった――。<br />豪放磊落でまっすぐな将門は、次第に叛乱の将に祭り上げられていく。<br />戦場に響く喊声、弓矢のうなり……武士の世の胎動を描く傑作長篇。<br />〈解説〉新井弘順