西の丸公爵の娘・氷見子は、父の秘密の記録係として客人の会話を筆記している。<br />陸軍大臣との密談から、青年将校たちの蹶起計画を知った氷見子は……。<br />公爵の息子でありながら蹶起に加わろうとする陸軍士官の兄、自ら悲劇の道へと身を投じる陸軍大臣の娘。<br />二・二六事件前夜の貴族と軍人の暗闘を、不羈奔放な氷見子の目を通して描く。<br />〈解説〉奥泉 光