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籠の中の猫

ホストクラブ『夢幻』で働く結城嘉人は、その日もいつものように仕事を終えた。
吹き付ける風の冷たさに辟易しながら自宅へ向かう。
今後のことも考えた方がいいが、今日のところは酒でも飲んで寝てしまおう。
暢気に考えていた嘉人は、しかし、すぐに足を止めることになった。
足下に、子どもが一人しゃがみ込んでいる。
白い肌に、銀糸の髪。
透明なガラス玉の瞳に見つめられ、嘉人は驚いて息を呑んだ。
(……綺麗だ)思わず見とれた嘉人に、猫のような仕草で擦り寄ってきた。
「ねえ、僕のこと拾ってよ」――突き放そうとしても、子どもは決して引いてはくれない。
帰れと告げれば、ガラス玉の瞳から感情が全て消え去って、帰る場所がない、と告げる。
著者紹介 木原梨花 宮城県生まれ、シナリオライター。
別名義にて一般向け小説デビュー後、シナリオライターとして活動中。
ゲームシナリオ、ドラマCDの脚本などを執筆。
本作にてBL小説デビュー。




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