出版統制令の真っ只中で「柳亭種彦が自決した」という知らせが飛び込んできた。<br />「バカ野郎……」そうつぶやいた金四郎の目に思わず涙が込み上げてきた。<br />江戸の改革という大義名分のもと、次々と禁令を発して取り締まる老中・水野忠邦と鳥居燿蔵。<br />一方、江戸の遊興を守ろうと立ち上がった町奉行・遠山金四郎。<br />組織の論理と戦いつつ、己れの信念を貫き通した金四郎の実像。<br />