徳川家光 英明・武勇の三代将軍
徳川三代の政治顧問であった天海大僧正が、「徳川家康公は万事に通じており、何事をたずねても滞るところがなかった。
秀忠公は資質が温和柔順だったので、同様であった。
しかし、家光公は、極めて聡明であり、武勇にすぐれていた」--と評している。
天海があえて、家光だけを聡明英武と称えているのは、家光の中に底知れぬ叡智を見出していたからではなかろうか……と、著者は言う。
その通り、家康、秀忠が苦労して創って来た徳川幕府の土台は、後を継いだ、三代将軍・家光によって、盤石なものとなった。
彼は、柔軟な思考力を持ち、物事の善悪をよく見極め、それを自分の中で十分に咀嚼し、善しとしたことだけを用いた。
それでこそ、心もとなかった幕政を上手に熟させることができたのである。
また‘生まれながらの将軍’として、強気の姿勢で世に処したのも、その治の特徴であった。
戦乱の残り火を吹き消し、泰平の道を拓いたリーダー像を描く長編歴史小説。
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