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「私はうつ」と言いたがる人たち

――ある日の診察室。
「私うつ病みたいです。
休職したいので、診断書ください!」。
この思い込みにまわりは迷惑、ほんとうに苦しんでいる人が泣いている。
仕事を休んでリハビリがてらに海外旅行や転職活動に励む「うつ病セレブ」、その穴埋めで必死に働きつづけて心の病になった「うつ病難民」。
格差はうつ病にもおよんでいる。
安易に診断書が出され、腫れ物に触るかのように右往左往する会社に、同僚たちはシラケぎみ。
はたして本人にとっても、この風潮は望ましいことなのか? 新しいタイプのうつ病が広がるなか、ほんとうに苦しんでいる患者には理解や援助の手が行き渡らず、一方でうつ病と言えばなんでも許される社会。
その不自然な構造と心理を読み解く。




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