妖恋
男と女が落ちたのは、甘美な恋か、底知れぬ闇か。
江戸の恋は、こんなにも妖しく、こんなにも切ない。
年下の火消し鳶との祝言をひかえた女が、火事の夜に知ってしまった男の秘密に、自らの暗い深淵を覗き込む「心中薄雪桜」。
「血の臭いをかぐと螢は死ぬよ……」。
姉の家に男を誘う少女の闇を描く「螢沢」。
菊作りに精を出す隠居した男が月夜に出会った、娘姿の人形を操る不思議な少年に魅せられてゆく「十六夜鏡」。
変化朝顔に魅入られた男女の虚ろで残酷な恋の末路を、無垢な少女が見つめる「濡れ千鳥」。
『開かせていただき光栄です』『少年十字軍』などで話題の著者が、江戸の四季の風物に彩られた七つの恋のかたちを描く。
大人のための、そして大人の世界を垣間見たい人のための珠玉の短編集。
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