淋しいおさかな
「おはなしこんにちは」というNHKの幼児向けの人気番組があったのを覚えているでしょうか。
そこで朗読された童話が、本書に収められた、別役実氏の書き下ろし童話でした。
表題作の「淋しいおさかな」をはじめ、「煙突のある電車」「猫貸し屋」「穴のある町」「可愛そうな市長さん」など、22作に共通するのは、穏やかな始まりと、虚をつくような結末、あるいは哀愁漂う結末など、いわゆるハッピーエンドで終るような童話ではなく、大人の鑑賞にたえ得る童話という点でした。
それは、この作品集が単行本として刊行された当時、大人の支持を受け、版を重ね、復刊を望む声が多かったことでもわかると思います。
まさに、本書は「大人のための童話集」の走りだったのです。
かつて自分が子供だった頃を、本書を読んで思い出してみてはいかがでしょう。
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