常勝将軍 立見尚文
日清戦争が勃発すると、陸軍少将になっていた立見尚文は歩兵第十旅団長として出征、平壌攻防戦などで、またも戦功を重ねていった。
戦後は中将となり、第八師団を任されたが、麾下の歩兵第5連隊が八甲田山の雪中行軍で全滅する事件もあった。
しかし立見の真骨頂は、日露戦争における「黒溝台の戦い」で発揮された。
第八師団を率いた立見中将は、多くの部下を失いながら全滅寸前という激戦を続け、ロシアの大軍を黒溝台から撤退せしめたのである。
これによって全体の戦局は一気に好転し、奉天会戦勝利への道筋が付けられたのだ。
戦後は陸軍大将に昇進、61歳のことである。
賊軍として謹慎を余儀なくされてから38年後のことであった。
一度はどん底に沈んだ人生を、自らの力だけで取り返した立見の生き方は、現代人にも通じる多くの示唆にあふれている。
傭兵経験を持つ著者のならではの、戦場の空気感を損なわない見事な描写も圧巻。
大河長篇、堂々完結。
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