平家夜話 櫻
武士(もののふ)たるもの、雅を心がけ、きらびやかであってよし。
ただし、潔うあれ。
ゆえに、平家は「櫻」なり――。
『平家物語』に語られる様々な人間模様を、著者独自の感性から紡ぎなおした短編連作集である。
叡山の僧兵たちの強訴に対し、院所の門前で彼等が担ぐ神輿に矢を放ち、武門の矜持を示した若き日の清盛の勇姿。
先々帝の后・多子を再び后に迎えることで、父後白河院への鬱憤を晴らそうとした二條帝と、それに翻弄される周囲の人々。
清盛の寵愛をうける祇王祇女姉妹に、芸で立ち向かった同じ白拍子の佛御前、そして祇王姉妹の行く末。
平家追討を謀った鹿ヶ谷の変の首謀者たちのそれぞれの思惑。
小督の悲恋と源仲国の清き恋情……。
他に「海道下り」「都落ち」「壇ノ浦合戦」「大原御行」など『平家物語』の名場面が見事に換骨奪胎され、「新内」の語り手でもある著者ならではの筆致流麗な語り物としてここに蘇る。
気鋭が奏でる珠玉の十四話。
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