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きりしたん算用記

大勢の人でにぎわう京は北野天神の境内で、どろぼう扱いされて泣いていた天涯孤独な少女・小菊。
彼女を救ったのは18、9歳になろうかという若く美しい女性だった。
屋敷に連れられていくと、女性はルチアと呼ばれていた。
キリシタンなのだ。
江戸初期のキリシタン弾圧は、すでに始まりつつあった。
小菊は未知の世界におびえるが、ルチアはその聡明さを見込んで、読み書きや算法を学ばせる。
江戸時代のベストセラー和算書『塵劫記』の著者・吉田光由(与七)を脇役に配し、黎明期の和算と喪われていくキリシタン文化との出会いを、小菊とルチアの交流を通して心洗われるような物語に仕上げた。
やがて弾圧の嵐が強まるなか、2人は京を離れるのだが……。
ルチアの慈愛に満ちた美しい心と、小菊の健気な成長に胸を打たれる。
ヒット作『算法少女』の著者による「和算小説」の名著。
『塵劫記』成立の謎にも触れ、一般読者だけでなく和算ファンにも楽しめる。




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