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御仕出し立花屋 狐の嫁入り

人情の機微をさまざまな形で作品に仕上げてきた著者が、はじめて舞台を江戸に移して描く長編時代ミステリー。
主人公は、深川で仕出し専門の料理屋・立花屋を営む与七。
三人の弟子を使って、四季折々の自慢の料理を供している。
ある日、青物市場に買い出しに出かけた与七は、途中、元吉という少年と知り合う。
少年は、付け火事件で親兄弟をすべて失った孤児だった。
ちょうど下働きがほしいと思っていた与七は、元吉を連れて帰ることに。
それから一月が経ち、与七について久しぶりに青物市場を訪れた元吉は、そこで付け火事件の犯人と思しき人物を見かけた。
与七はさっそく、岡っ引きの正蔵親分に頼んで犯人捜しを始めるが、事件は武家を巻き込んで意外な方向へと展開してゆく……。
ミステリーで味付けされたストーリーに、下町人情の隠し味が冴え、さらに江戸料理が彩りを添える。
新境地を開いたエンタテインメントの佳編である。




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