舞台は幕末の江戸。<br />やむない事情で幼い娘と離ればなれとなり、裏店にひとり暮らす女髪結のお徳。<br />世間話をしながら女たちの髪を梳いていると、ことばでは言い尽くせない女の切なさが伝わってくる……。<br />傾いた家を救うために入婿をもらう花嫁の涙、女手ひとつで六人のわが子を懸命に育てる母の強さ、亭主の浮気を疑いながらも平静を装う妻の意地など、人情溢れる短編連作小説。<br />文庫オリジナル。<br />