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児玉源太郎

新興国家・明治日本が、その存亡を賭けて戦った「日露戦争」。
国力において、両国の差は歴然。
面積において50倍、人口では3倍、常備軍も5倍……すべての面で優るロシアとの戦いは、’敗れて当然、勝つのは奇跡’とまで言われ、日本にとってはまさに、乾坤一擲の大勝負であった。
その陸戦における参謀本部の頭脳として、’奇跡実現の演出’を行なったのが、本書の主人公・児玉源太郎である。
源太郎は、日露戦争の直前まで、内務大臣で台湾総督の要職にいた。
それが、対露戦が避けがたいと知ると、その職をなげうって、参謀本部次長の職についた。
これはあきらかに’降格’である。
しかし彼は、それを意に介さなかった。
彼の脳裏にあるのは、対露戦の戦略・戦術ばかりだった。
やがて、満州軍総参課長として出陣した彼の作戦は、鴨緑江渡河、旅順攻撃、遼陽会戦、奉天会戦などで、次々と功を奏して行く。
’天啓とも言うべき智謀’と称された生涯を鮮烈に描く。




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