老舗を救うのは革新の味か、伝統の味か――。<br />傾きかけた京都の料亭「糺ノ森山荘」を継いだ明美のもとに、亡き父の紹介状を携えた初老の料理人が現れた。<br />この男、腕は確かだが、つくる料理は古風なものばかりで、現場の板長との衝突が絶えない。<br />そこで明美はどちらが料亭に相応しい料理をつくれるか、板長の座をかけた料理対決を提案する。<br />イワシ、筍、鱧……旬の食材を用いた勝負の行方、そして男の正体とは。<br />文庫オリジナル。<br />