イルダーナフ
ぼくは偽りの英雄だった、’二度目’のキミに出逢うまでは――。
至福の島(ハイブラゼル)のエルフに「死」という概念はない。
女神アナが創生した「リア・ファイル・システム」により転生を繰り返すだけである。
それゆえ「哀しみ」は失われつつあり、あまつさえ大教主マクリールは他の感情すらも禁じるようになっていた。
ハイブラゼル空軍隊長で高位(ハイ)エルフのルゥは、真銀(ミスリル)製戦闘機<アンバール>を駆り、今日も敵国将軍を撃墜し「英雄」の名を知らしめた。
だが、心の片隅では「畏れ」の感情を秘め、偽りの英雄を装っている。
72回もの転生(リア・ファイル)により失った記憶の断片に苛まれ、大教主の戒律に疑問を持ち始めていた。
そんなある日、ルゥは感情豊かな少女ブリジッドと出会い、懐かしさにも似た不思議な感情を抱くのだが……。
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