静かなるボクサー
圧倒的なスケールで描くボクシングを超えた究極のボクシング小説、壮大な人間ドラマ。
これまでに8戦闘いながら未だKO勝ちのない高木正弘。
相手を力で制する前にディフェンス技術を完璧にさせようというジム会長の方針の結果だ。
KO勝ちがないゆえにファンの関心もマスコミの興味も惹いていないが、自身は密かに世界チャンピオンをめざしている。
そんな正弘の前に、日本最速で世界チャンプに上り詰めようとしている天才ボクサーがあらわれる。
ジャズ・サックスプレーヤー、伝説の巨星ジョン・コルトレーンの曲に乗って登場する同じバンタム級の立岡龍次。
冷静沈着な立ち居振る舞いはすでに歴戦の強者の風格を漂わせている。
龍次と正弘。
若いふたりの世界チャンピオンベルトをかけた運命の闘いがいつ訪れるのか。
リングに上がれば、ボクサーは孤独な闘いを強いられる。
信じられるのは自身のみ。
その信じられる自身のなかには、これまでの自分を支えてくれた多くの人たちの思いが詰まっている。
親、兄弟姉妹、妻、恋人、学生時代の恩師、同級生、ジムの会長、トレーナー......。
ボクサーはさらに、人類の歴史、自身が生きていた時代のあらゆる出来事の影響も必然的に受けて闘うことになる宿命を背負っている。
本シリーズは、縦軸で若いふたりのボクサーが世界戦で激突するまでの過程を濃密に描き、横軸でボクサーに関わる人たちの歴史、哲学、思想を丹念に描いて展開する。
原案は鰆木周見夫。
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