奇天烈な店(小学館文庫)
その店の主人は、「サバは関より紀伊水道」「大トロはひと振りの塩とニンニクきざみで」という確固たる舌の持ち主。
それでいて、「イカの眼球を支える筋肉」やら「タイの脳ミソ」なんぞというシロモノがでてくる奇妙奇天烈な鮨屋。
そこで繰り広げられるのは、主人と常連の間で交わされる人情の機微に富んだ会話……。
名前は知ってはいても、家族構成や職業も知らない──それが酒場の流儀。
実生活の匂いは持ち込みたくない。
その間合いを楽しめる客だけが、この店に入ることを許される。
さあ、虚と実が裏と表に貼りついた‘村松友視的世界’の珍味をご賞味されたい。
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