昭和30年7月。<br />夏休みのある朝、小学4年生の広之は大阪から夜逃げしてきた家の子・勝治と出会った。<br />無邪気な少年同士の友情は、親たちの抱える複雑な情と事情に流されて、ひりひりとした痛みを帯びていく。<br />ひと夏の体験とかつて荒くれ者だった父が酔って語る’魂の話’は、広之の心に何を刻むのか-戦争の傷跡残る和歌山を舞台に、ふたりの少年の出会いと友情、そして別れを軸に、大人たちの人情の機微と愛情を情感こめて綴った、ふたつの家族の物語。<br />