凍血樹林
ちょうどその日、冬の上高地で、カラマツの木に寄りかかるようにして立つ、氷に閉じ込められた遺体が発見された。
いったい誰が、手間をかけた遺体をつくったのか。
警察官の妻の射殺と関連ははたしてあるのか。
稀にみる難事件に、長野県警豊科署の道原伝吉が挑む!一月下旬の朝、警視庁刑事の妻射殺事件のニュースで持ちきりだった長野県警豊科署に「妙な遭難者を発見」の通報が入った。
現場は上高地の小梨平。
遭難者は若い男性で、氷柱の中に閉じ込められた形で木の幹に添って立っていた。
所持品から身元は割れたが、脇腹を二か所刺されていたため他殺と断定、殺人事件へ。
手がかりも殺害動機も掴めず、捜査は難航。
担当の道原伝吉刑事も、これだけ犯人像が浮かばない事件も珍しい―と。
山岳ミステリーの第一人者・梓林太郎の渾身作。
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