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虚線の山

山岳ミステリーの第一者の作家人生、充実期の山岳ミステリー集だ。
意表をつく見事な展開を繰り広げる3つの中編からなり、いずれの作品も筆が冴え渡っている。
表題の『虚線の山』は、槍ヶ岳から戻るはずの夫を待っていると、深夜、見知らぬ女から、衝撃の知らせを受けた。
夫は、女の部屋で急死したという。
夫の死の原因は何か、本当にその死は病死だったのか。
悲しみに暮れる中、妻は動き出す。
『氷の密室』は、生活苦からやむなく自分の臓器を売ろうと決めた男にもちかけられた怪しいバイト。
「臓器を売る気になったんだから」、どんなことでもできるはずだといい、100万円を振り込んできた。
男はそれが罠と気づいたが、すでに抜けられなくなっていた……。
『殺人・クリヤ谷』は、母が亡くなる寸前、一人娘の浩子は金を貸していたと教えられる。
その額、1500万円。
借金をしている、下町で印刷会社を営む東川は、小狡かった。
返済する気がないとわかり、浩子はある危険な申し出を東川にしたのだった……。




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