幻の殺人
「わたくし、人を……。
人を殺してしまったのです」 新聞社の論説委員をしている私は、愛人の冬子から衝撃の電話を受けた。
当惑させられたのは、今朝の二時頃だという。
しかしその時刻、冬子に殺人は不可能だった。
冬子とともに、わたしは家族に内密にして、熱海に二泊していたのだ。
冬子はこれから自首するという。
わたしの不倫の秘密は守るれられるのか。
そして、冬子は殺人犯として逮捕されされてしまうのか――。
冬子によってもたらされたわたしの戸惑いが深まる。
読めない結末の表題作「幻の殺人」。
この全5作の短篇は、長編の原型となったものばかり。
男と女がそれぞれに秘める思惑が、意外な形をつくりだしていく。
緻密で精巧なミステリー!
更新中です。しばらくお待ちください。