盗作の舞台
新宿区のテアトルふらんすで三橋里奈という新人脚本家が書いた『ジャンヌ・ダルク』の舞台稽古が坂戸真の演出で始まっている。
坂戸はベテラン脚本家の高井麻巳子に相談を持ちかけた。
脚本の内容に納得がいかないためだ。
麻巳子は鎌倉大学教授の山浦に相談を持ちかけた。
三橋の台本を見た山浦が演劇文化館で調べてみると第四幕と第五幕の後半部分は亡くなった劇作家都崎あきの初期の脚本の引き写しであった。
そもそも三橋里奈に台本を書かせたのは演出家協会の理事佐々部春吉だったが、三橋里奈が佐々部春吉の愛人なのは公然の秘密であった。
『ジャンヌ・ダルク』の公演は初日から一週間経った。
新聞も各紙が取り上げ、テレビも連日取り上げている。
しかし、収まらないのは三橋里奈であった。
盗作の罪を悔いているどころか、まだ『ジャンヌ・ダルク』に執着しているのだ。
この事実を知った佐々部も照山もそれぞれ里奈を許せない。
照山は盗作と旅費の流用について、佐々部は芹山を愛人にしたことについてである。
『ジャンヌ・ダルク』千秋楽の日、主演の川田夕美が現れない。
仕方なく、新人女優の新井夢子が代役を努めて無事第四幕が終わった。
第五幕でジャンヌ・ダルクが張り付けられた処刑台が突然倒れてしまう。
舞台は大混乱に陥る。
ジャンヌ・ダルクで蘇りを狙った三橋里奈が荒井夢子を脅して役を入れ替わったのであった。
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