にがい蜜
私は中国秘密結社の調査のために香港に出かけた。
中国の秘密結社といえば、青幇*チンパン*と紅幇*ホンパン*が有名である。
だが、彼らのおもな縄張りは揚子江流域で、根拠地は上海なのだ。
華南では三合会の勢力がつよかった。
かつて孫文も三合会と結んだし、太平天国も彼らと関係をもった。
起源についても諸説紛々だが、国姓爺鄭成功の父鄭芝竜を始祖とする説もある。
青幇は華中の運河を航行する水夫のあいだに組織されたというが、三合会も華南の船乗りに関係があるようだ。
鄭芝竜というのは、明末の貿易船であり、大海賊でもあったのだ。
三合会とは、天地会のことである。
天地会のバイブルの語句のなかに『三河合水万年流』というのがあって、それから会の別名になった。
「天地会」が訛って「天帝会」または「添弟会」とも呼ばれる。
リーダーを老大哥と呼ぶところから「哥老会」の別名もある。
要するに三合会とは、異民族である満清王朝にたいする、漢人のレジスタンス運動にほかならない。
友人から国民政府時代の北京の高官を紹介され、すばらしい青磁の花瓶を買い求めた。
その折り、通訳兼ガイドに美しい中国美女が待っていた。
そして彼女の尽力で三合会の入会式に秘密裏に参加できることに。
じつはここに一つの細工が施されていて、ラストのドンデンがえしに読者は導かれることになる。
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