日本早春図
江戸初期からつづいている造り酒屋で、銘酒『桜獅子』の醸造元である芦屋の桜井家は、中国美術の名品を、代々、蒐集してきた。
その桜井家に残された美術品リスト『桜獅子名品帖』に記された『日本早春図』の流転のものがたりである。
『日本早春図』の作者は、呉中四才子といわれた中国・蘇州生まれの無頼派唐寅*とういん*だ。
当時の蘇州は、絹織物製造の中心地で、豪商が多く財力がゆたかで、そこに爛熟した芸術が花ひらいたのだ。
唐寅*とういん*は時代の子であり、土地の生んだ才能でもあった。
しかし、日本に来たこともなかった蘇州の唐寅が、なぜ日本の景色を描いたのか? 名品に隠された謎を史実をもって語りあかす。
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