何かがわたしの心に傷をつけた。<br />でもわたしは相変わらず挟いアパートにしがみついていた。<br />この大都会の奇跡をどこかで信じていたのかもしれない──。<br />表題の『泣いた男』など、不思議で、愉快で、お洒落で、涙の止まらない物語を7話収録した、第49回文藝賞受賞の著者が贈る珠玉の短編小説集。<br />伝説のサラブレッドたちをモチーフにしながら競馬にとらわれない『ゆうべ不思議な夢を見た』シリーズの再編集版。<br />