ボルネオ・サラワク王国の沖縄移民
沖縄県発・おきなわ文庫シリーズ第4弾。
著者は、法政大学沖縄文化研究所国内研究員として活躍する一方で、古書などを取り扱うオンラインショップ「ヤシの実ブックス」の代表も務める異色の経歴を持つ望月雅彦氏。
本書は新たに著者本人によるあとがきを加えた電子復刻版である。
「沖縄移民」という言葉を聞いて、いつの時代のどんな人が、何をしたのかを理解している人はほとんどいなくなったのではないかと思われる現代。
海外への移民政策は、様々な戦争を経験し、領土拡大を図っていた大正?昭和の日本において、国が進めた欠かすことのできない日本史の一部である。
しかしながら、本書が記す「沖縄移民」は、一般的に想像されるブラジルへの移民などとは経緯が異なり、それらの経過は大変興味深い。
送り出した「日本」と受け入れた「サラワク王国」、そして「実際に移民した人」…。
「過去の歴史」として世間に知らされていた事実を記しただけでなく、実際に移民体験をした人の生の声を収録した本書により、「外側から考察した歴史」と「内側から見た当時の現場」の姿がリンクし、サラワク移民を広く深く理解することができるだろう。
初版発行から18年の時を経て、サラワク王国から戻り「現場の真実」を語れる人が少なくなってしまった今だからこそ、知って欲しい歴史がここにある。
「昭和七年、旧伊平屋村(現在は伊是名島と伊平屋島に分島)よりボルネオ島のサラワク王国(現マレーシア・サラワク州)に向け合計二四家族一一四名の出移民があった。
この移民団は同地域への日本人移民としては嚆矢であり、米作を主目的とした農業移民という点でも興味深い。
本書は入植地日沙商会サマラハン農園の現地調査・史料調査・移民聞き書きを加え、沖縄移民史の中でも空白部分であったサラワク移民の全体像を解明したものである。
(1994年初版発行時の作品紹介文より)」
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