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レダの末裔―アイルランド・ポリネシア・沖縄―

沖縄県発・おきなわ文庫シリーズ第4弾。
長期の海外生活経験を持ち、琉球大学の名誉教授である著者・米須興文氏。
沖縄の本土復帰から40年という節目の年に、戦時下の世界を知る著者がかつて語った「民族のアイデンティティー」に対する問題提起書が電子書籍として復刻した。
本書は、タイトルどおり「アイルランド」「ポリネシア」「沖縄」の3地域を舞台に展開される。
美しく激しい言葉で綴られた文章は、それぞれの土地の情景やそこに息づく民族文化、そして著者の思いなどを、優しく読者に語りかけてくる。
旅行記のように読みやすく、臨場感溢れる描写に自然と引き込まれていくだろう。
著者自身が巻末の「復刊に寄せて」で記したように、初版発行時から26年という月日を経た今、当時と考え方が異なった部分もあるとのこと。
しかしながら、それぞれのストーリーで絶えず問いかけてくる「民族のアイデンティティーとは?」という、現代もなお解決の糸口を見せないこの問題は、難しく構えることなくとも自然と読者に訴えてくる。
そして、現在の著者の本意ではないかもしれないが、語られる言葉には何度もハッとさせられるはず。
決して考えを押し付けるわけではない、だが、これまで考えたことのなかった角度からフワリと舞い降りた言葉たちは、読者に「違う角度から物事を考えてみる」という、当たり前のようで難しい、とても大切なことを教えてくれる。
「英文学者なかんずくイェイツ研究家として令名高い著者の「意識の流れ」は、アイルランドそしてポリネシアの地にあっても、たえず沖縄へ行きつ戻りつ、外からのインパクトにより激しく翻弄される民族の現実を鮮やかに抽出してみせる。
本書は、戦後沖縄最高の知性の魂の遍歴であり、久しぶりに「活字がおいしい」書に接する読者の至福は如何ばかりであろう。
(1986年初版発行時の作品紹介文より)」




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