南海の歌と民俗―沖縄民謡へのいざない―
沖縄県発・おきなわ文庫シリーズ第9弾。
「南島文化の中で、歌の占める位置は大きい。
今や民謡界は百花繚乱の様相を呈している。
だが、その割には意外とこの分野のわかりやすい文献は少ない。
著者は沖縄本島、宮古、八重山にとどまらず、早くから斬新な視点で奄美の列島弧をも結ぶべく、琉球文化圏全体の追及を強調、その先駆的役割を果たす。
本書ではその地道なフィールドワークの経験から奥深い歌の生態、南島歌謡の歴史と広がりを生き生きと活写。
各章とも示唆に富む論述やエピソードに満ち、沖縄民謡の貴重な案内書として、その役目を大いに果たすことであろう。
―1985年の紹介文より」著者は琉球民謡・しまうた研究家の仲宗根幸市氏。
「しまうた文化研究会」を結成して奄美から八重山に及ぶ琉球弧の民謡(しまうた)を丹念に、徹底的に調査・収集してその成果を発表し続けたが、2012年不慮の事故で他界。
「民謡は情報伝達にも広く利用された。
民謡は生まれるべき地に生まれる。
生活に根ざしてこその民謡である。
民謡は雑草の中に咲いた野の花である。
それが鉢に移植され、ハサミを入れられて床の間に飾られたら民謡の特色である郷土性、土の香りを失うのは当然である。
普遍的な民謡は歌い続けられ、精神文化まで昇華する」これは著者の持論であった。
20数年の時をへて仲宗根氏への追悼文を追記した電子復刻版。
更新中です。しばらくお待ちください。