富豪は乙女の名も知らず
恋い焦がれる男性のそばにいたい。
彼が私の名前を呼ぶことはなくても。
「なんてかわいい人だ」富豪アレクセイの声に、ミナは緊張した。
昨日、私の親友は泣きながら語った。
出世したい父親により、自分は花嫁として富豪に差し出されるのだと。
傲慢なアレクセイが妻となる女性の顔も知らないことに賭けて、ミナは親友を救うために、身代わりになろうと決意していた。
そのアレクセイは、奴隷でも買ったような目でこちらを見ている。
けれど相手のまなざしに体が熱くざわめき出し、ミナはあわてた。
女性を物としか思わない男性に惹かれてどうするの?二人のあいだには嘘しかなく、彼は私の名前さえ知らないのに。
■ヒロインの純粋さ、一途さがすばらしいと評判のアニー・ウエストの作品をお届けします。
ミナはアレクセイに初めての恋をする一方で、つらい気持ちをこらえながら親友のふりを続けます。
自分が偽者だとわかれば、彼に拒まれ、そばにはいられなくなるから……。
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