公爵と初恋の森
このままでは、もう一度恋をしてしまう。
そんな予感に、彼女はおびえた。
アイルランドの懐かしい古城で、キアラはトムと再会した。
十代のころ、夏の休暇のたびにこの城に仕える祖父母のもとを訪れ、キアラは当主である公爵の子息トムと愛し合うようになった。
だが、互いにまだ18歳、主従の子同士の恋が祝福されるはずもなく、妊娠、流産と数々の誤解を経て、二人は引き裂かれたのだった。
今、城の庭師として働くキアラは、近ごろ公爵位を継いだトムから、城と庭を売却すると聞かされる。
あの日以来この地に寄りつかず、実業家としても大成功している彼には、思い入れなどないのだろう。
そして、キアラが思い出に胸を震わせようと、身分違いは昔のまま――ところが翌日、大雪が城を襲う。
二人きりで閉じこめられて……。
■森の中で、愛をささやき合ったあの日。
苦くも甘い記憶の残る場所が人手に渡ると聞き、ショックを受けるヒロインですが、時はクリスマス、はからずも共に過ごすことになって……。
豪華な舞踏会シーンなど、クラシックな雰囲気たっぷりのラブストーリーをどうぞ。
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