世にも美しき伯爵と
目と目が合った瞬間に、この世の全てが消え失せた。
いったいどうして老伯爵は、天涯孤独の貧しい私に全財産を譲ったの?しかも相続の条件は、年内に結婚することだなんて……。
「うまくやったものだな、ミス・ワイルディング」新伯爵ベインに蔑むように見据えられ、メアリは体じゅうが熱くなった。
つまり、読み上げられた遺言書の内容は聞き間違いではないのだ。
あまりの出来事に呆然とするメアリにベインは愛なき結婚を迫り、この世のものとは思えないほど甘美で情熱的なキスをした。
「さっさと私を殺せば、あなたの問題はすべて解決するのに」胸の高鳴りを懸命に押し隠すメアリに、ベインは冷たく告げた。
「その方法についても、考えなかったわけじゃない」■愛に背を向けた伯爵と、愛を夢見る貧しい娘。
出会うはずもなかった正反対の二人がなす術もなく惹かれあうとき、過酷な運命が幕を開けて……。
リージェンシーの名手と名高い英国の人気作家が精緻に描く、ミステリアスで情熱的な珠玉のシンデレラ・ストーリー。
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